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学会案内

理事長挨拶

大澤健司さん

公益社団法人日本繁殖生物学会 理事長
大澤健司
宮崎大学農学部教授

 2023年9月に日本繁殖生物学会(SRD)の理事長を拝命いたしました。SRDは1948年に「家畜繁殖研究会」として発足した、歴史ある学会です。1986年に「家畜繁殖学会」、1995年に「日本繁殖生物学会」と改称し、繁殖学を基盤とした学問を構築、深化させつつ、生物学、発生工学、畜産学、医学、獣医学など周辺領域の学問分野との融合を図りながら発展してきました。また、2016年2月に「一般社団法人日本繁殖生物学会」へ、さらに2017年9月に「公益社団法人日本繁殖生物学会」へと進化を遂げてきました。
 本会は国際的に活躍する多数の会員により支えられています。国内外の繁殖学、生殖科学の関連学会との連携を深めながら本会のプレゼンスを示し続け、会員の皆さまにとって魅力ある学会運営に努めます。と同時に、公益社団法人として社会に貢献できる学会として活動を続けていきます。本会の使命を果たすべく、理事の方々、評議委員の方々と協力してさまざまな取り組みを行っていきます。
 第116回神戸大会にて、以下の8つの活動指針を“SRD2023六甲八策”として披露させていただきました。全てに通じることは、「コミュニケーション力の向上」です。

1.JRDをさらに魅力あふれるジャーナルに
 本学会が発行する学術誌、Journal of Reproduction and Development (JRD) は1955年に創刊の「家畜繁殖研究会誌」を起源とし、現在は繁殖生物学に関するオープンジャーナルとして研究論文を世界に向けて発信しており、国際誌として評価されています。JRDは学会員の研究レベルの高さを示す象徴のひとつです。現在、編集長と編集幹事の尽力のもと、これまで以上にダイバーシティに富む編集委員から成るEditorial boardを組織中です。一層の国際化を図り、会員および世界の研究者にとって、さらに魅力的なジャーナルとして発展していくことを目指します。
 JRD(https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jrd/

2.海外の繁殖生物学、動物繁殖学に関する学会との連携強化
 SRDは多くの先達の会員のご尽力により、韓国や中国、タイなどアジア各国との、そしてポーランドとの合同シンポジウムを開催してきました。また、SRDはSociety for the Study of Reproduction(SSR; 米国)、Society for Reproductive Biology(SRB; 豪州)、Society for Reproduction and Fertility(SRF; 英国)との持ち回りで第4回国際生殖生物学会(The World Congress of Reproductive Biology:WCRB2017 in 沖縄)を主催し、成功を収めました。その後、Chinese Society for Reproductive Biology(CSRB; 中国)、Korean Society for Animal Reproduction and Biology(KSARB; 韓国)、Thai Society for Animal Reproduction(TSAR; タイ)も加わり、コロナ禍で3年の延期を経た後の2023年9月に北京にて第5回国際生殖生物学会が開催されました。今後、繁殖生物学に関するこれらの学会との連携強化を図り、このネットワークを通じて会員の優れた研究成果を積極的に発信してSRDのプレゼンスをさらに高めていくと共に、海外の最新情報がいち早く会員に届くように尽力します。

3.ICAR 2026 帯広大会の成功に向けて
 国際動物繁殖学会(International Congress on Animal Reproduction: ICAR)は1948年に設立された組織で、4年に1回、世界の中で開催国を変えながら国際大会が運営されています。前回(第19回大会)は2022年6月にイタリアのボローニャで開催されました。そして、第20回大会はSRDが共催し、宮本明夫先生を大会長、菊地和弘先生を事務局長として2026年6月に帯広で開催されることが決定しました。アジアで初めての開催となります。SRDはWCRB2017 in 沖縄に続き、ICAR2026 in 帯広を成功させるため、すなわち、国内外の繁殖学関連分野の多くの研究者に帯広に集ってもらい、最先端の研究成果に関する情報交換の場にするべく、本会々員から構成される組織委員会を立ち上げて準備を進めています。
 ICAR2026(http://animalreproduction.org/

4.会員同士の交換留学・研修,グループ活動の奨励
 故前多元理事長の諮問に対する将来計画検討委員会(井上直子委員長)からの答申(2017年)として、1.合宿型若手セミナーの開催、2.優秀発表賞の見直し、3.ポスター発表形式の変更、4.公募型シンポジウムの開催、5.教育講演の実施、6.理事長提言の実施、7.書籍「繁殖生物学」の改訂、8.日本繁殖生物学会Webページの刷新、9.共同セミナーやシンポジウム等の開催による関連学会との連携の9項目が提案され、これまでの執行部および関連委員会委員の皆さまのご尽力により全項目が実施されました。今後は、国内留学や短期の研修を含む、会員同士のラボの往来を活発にするための取り組みを支援していきます。また、同様の研究目的を有する複数の研究チームから成るグループ活動を奨励します。例えば、前多理事長(当時)が立ち上げた「牛の受胎性向上グループ」がいわゆる“分科会”としてSRD内に設置されています。前多先生の逝去により学会内でのグループ活動が中断していましたが、これを“再起動”させたい考えです。また、別の分野でのグループ活動の始動も期待しています。

5.会員の多様性の推進と強化
 SRDはこれまで「多様性(ダイバーシティ)」を重要なキーワードに掲げ、本学会をジェンダーや国籍に関係なく、すべての会員が活躍できる学問の場とすることをポリシーとして学会運営をリードしてきました。多様性が学問や社会にイノベーションを起こす原動力であると捉え、今後も多様性に富む学会であることの重要性を継承し、この方針をさらに強化し、全ての会員が活躍できる学会を目指します。具体的には、ジェンダーや国籍、年代など様々な属性の会員が活躍できるための活動を支援します。

6.産学連携強化(コンプライアンス・研究倫理にも留意)
 言うまでもなく、学会は研究者だけのものではありません。公益社団法人としての学会であれば、なおさらその点を認識しておく必要があります。応用、臨床分野はもちろんのこと、基礎研究においても産業界との連携が社会へのコミットメントに繋がります。産業界からの会員や賛助会員の増加を促進し、企業や団体・個人から寄附を受け付ける取り組みを進めていきます。研究成果を発信しつつ、産業界、一般社会からの様々な声が届くようにしていきたい考えです。と同時に、SRDが産業界からも意見を求めつつ、学会としてのコンプライアンスを定め、会員の皆さまの倫理規範への理解を深めてもらう機会としたい考えです。

7.次世代支援
 SRDは若手支援を続けています。前理事長の束村博子先生が、かつて若手奨励策検討委員会の初代委員長として「若手企画シンポジウム」を企画しましたが、それが現在に至るまで大会の目玉企画の一つとして継続していることはSRDの誇れる特色の一つです。また、市民公開講座やオンライン公開シンポジウム等を通じて、多くの中・高生にも繁殖生物学に対して興味を持ってもらえるようなテーマを選んできました。これを継続しながらも今後は、専門に入る前の大学生にもフォーカスをあてたいと考えています。例えば、学部に在籍の1〜2年生を対象にSRDの学術集会に招待し、繁殖学の面白さを実感してもらう機会を作りたいと考えています。

8.サイエンスコミュニケーションの強化
 学会として一般社会、特に次世代に対して科学への関心を高めてもらうことは社会的役割として非常に重要です。これまで本学会は広報活動の活性化を図ってきました。研究動向や今後の科学の行方を多くの人に理解してもらうには、本会自身が様々な媒体を用いて繁殖生物学の世界を身近に感じてもらうための取り組みが必要です。これを達成するため、従来の会員向けの広報活動の他に、学会外の一般社会に対して繁殖生物学の研究成果を分かりやすく発信する担当を配置することが有効だと考え、「サイエンスコミュニケーション」担当理事を新設しました。サイエンスコミュニケーション力を強化することで公益社団法人としての社会的役割を一層強化します。現在の広報担当の業務範囲が大きくなっていることから、サイエンスコミュニケーション担当が広報、編集、プログラムの各委員会とも連絡を取りながらSRDの社会への発信力を高めていきたい考えです。

 繁殖(Reproduction)はあらゆる生命の根幹です。この神秘に触れることができる感動、これに関係する学問に関わることができる喜び、そして研究を通じてサステイナブルな自然環境と人類社会に貢献しようとする人々とのコミュニケーションとネットワーキングができる場として、SRDはその存在価値を示していきたいと考えています。会員の皆さんからの声、一般の方々からの声を待っています。いつでもお気軽にご連絡ください。皆様と共にSRDをさらに成長させていきましょう!

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